テレビやネットのニュースを見ていると、毎日どこかで何かの事件が起きていますね。
そのたびに誰かが事件の関係者として報道されたり、容疑者として逮捕されたりしています。
毎日見聞きするニュースの内容は日常に馴染んでしまい、自分とは無関係のまるでフィクションのようにさえ感じられるかもしれません。
しかし、ある日突然、あなた自身やあなたの大切な家族・友人がその「事件の関係者」になってしまったとしたらどうでしょう?
あなたは身に覚えのない罪に対してどう向き合いますか?あなたの家族や友人に容疑がかかったら、あなたは彼らの無実を信じ切れますか?
日本で過去に起きた事件の中には、無実の人を犯人として有罪にしてしまった冤罪事件と言うものが存在します。
そんな実際の冤罪事件を題材とした、冤罪について考えさせる映画が何作品かあります。
痴漢冤罪を扱った「それでもボクはやってない」は、まだ記憶に新しく印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
他にも、かの有名な“地下鉄サリン事件”や“ロス疑惑”などの背景でも冤罪をめぐるドラマがあり、映画化されています。
冤罪はいつ誰の身にも起こり得る問題です。
そんな、「それでもボクはやってない」以外にもぜひ観ていただきたい、冤罪をテーマにした日本の映画をいくつかご紹介します。
日本の黒い夏 冤罪
熊井啓監督による2001年に公開された作品です。
1994年に松本サリン事件が起こりその事件から1年後に、放送部員である高校生のエミとヒロが一連の冤罪報道を検証するドキュメンタリービデオを制作していました。
二人は地元のローカルTV局を訪れて報道部長の笹野と彼の部下の花沢に話を聞く事にするのですが、この局以外はどこも非協力的でしたがこのテレビ信濃だけが取材に応じてくれたのです。
当時の様子を回想すると、松本市で何者かによって毒ガスがまかれて多数の死傷者を出す事件が発生しました。
第一通報者であった神部の自宅を警察が捜索し薬品を押収し、青酸カリがあったとの警察のリークから報道は一斉に「青酸カリから毒ガスが発生した」と報道します。
その段階では何の裏も取られていない情報にも関わらず報道は加熱していきましたが、テレビ信濃の笹野だけは上司の圧力や視聴者からの批判を受けながらも、自身の苦い経験から裏の取れない事は報道しないという事を貫きます。
神部自身も毒ガスの被害者で妻も意識不明になるなか、まるで犯人のごとく報道された神部。
裏が取れないと報道しなかった笹野。
そしてやがて事実が明るみになりあるカルト教団の関連が浮上してくると、あの地下鉄サリン事件が起きてしまうのです・・・
BOX 袴田事件 命とは
高橋伴明監督による2010年に公開された作品です。
昭和41年に清水市の橋口味噌工場が放火された事で事件が発覚します。
現場からは一家4人の遺体が発見されますが家族が4人とも刺殺されていた事で、家事ではなく殺人事件としての捜査が開始されます。
刑事は味噌工場の従業員であった袴田に目を付けますがその理由は、殺された専務は柔道2段であった事から犯人はそれと渡り合える事の出来る人物。
従業員のほとんどが親戚や友人だったのにも関わらず袴田だけがよそ者であった事。
さらに妻に出て行かれたうえ借金があると噂されていた事などから袴田は逮捕されます。
最初は証拠不十分で釈放されますが、再び逮捕されここでも袴田は否認していましたが勾留期限の3日前に自白した事で起訴されます。
その後の公判で袴田は起訴事実を全面否認しますが、1年経過しても決め手を欠いていた時に工場を再度検査して血染めの犯行着衣が見つかります。
昭和55年袴田に下されたのは死刑判決でした・・・
約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯
齋藤潤一監督による2012年に公開された作品です。
昭和36年、奈良県にある葛尾地区の公民館で住民の懇親会が開かれ男性には日本酒、女性にはぶどう酒がもてなしとして出されました。
ぶどう酒を口にした女性が突然苦しいと訴え初め、17人が次々と倒れていきそのうち5人が死亡します。
警察が3人の男性を聴取したところ、被害者の中に一人の男の妻と愛人の両方がいた事から、三角関係の清算を狙った犯行と見て、奥西が逮捕されます。
容疑者として逮捕された奥西は自白を強要されたとして無罪を主張し、一審では無罪判決・二審では死刑判決となり昭和47年の最高裁で死刑が確定します。
戦後でただ一つの無罪からの逆転死刑判決となりましたが、人権活動家たちが奥西の無実を訴える活動を起こし、弁護士も疑問の残る唯一の物証の検証を始める中、事件から50年以上にわたり再審請求をしている奥西の孤独と恐怖に迫っています。
三浦和義事件 もうひとつのロス疑惑の真実
東真司監督による2004年に公開された作品です。
ロサンゼルスを旅行中だった三浦和義夫妻の妻が、突然何者かから襲撃されて頭部に銃弾を受けた事で死亡してしまいます。
夫の和義も足を打たれる重症を負った事で、メディアでは日本人が海外で悲劇にあったと大々的に報道されていました。
事件から1年後すでに再婚していた三浦和義の元にマスコミから「愛人と共謀し妻を保険金目当てで殺したのではないか?」との連絡が入ります。
マスコミによる取材攻勢が始まるなかで三浦和義は、日本中から疑惑の目を向けられながらも無実を訴え続けます。
そんな反論もむなしく三浦和義が逮捕された事でやっと事件はこれで解決するかと思われたのですが・・・
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